トリマーサクセスストーリー2

ペットハウス ベル 大柳さん


OLとして働いていた後、トリマーの勉強をし、動物病院でトリマー兼看護士として働く。
出産を機に動物病院を退職後、縁あってトリミングサロンを中心としたペットハウス ベルを立ち上げる。
木更津市研修所として、後進のトリマー育成にも力を入れている。

 

 

◇トリマーになったきっかけは?

もともと犬好きでしたが、OLとして働いていた19歳の時、友人がトリマースクールに通い始めました。
そんな学校があるのかと思い、パンフレットをもらい、両親に相談したのですが 通学を反対されました。
実は私の家庭は、兄弟がみな大学に進学するなど、学問に熱心でした。
なので両親は当然私も高校卒業後進学するものだと思っていたのですが、両親の反対を押し切って就職したので、今更進学なんて・・・という思いがあったんだと思います。
20歳になった時ようやく許されて、1年間スクールに通いました。
現在では2年制など複数年学べる学校も多くありますが、当時はどこも1年制でしたね。
卒業後はスーパーのレジ係のアルバイトをしていたんですが、動物病院のスタッフを募集している案内を見つけて、応募しました。
トリマースクールを卒業してから1年ほど経っていたと思います。
採用された動物病院は、人手が足りなかったので、入って1週間しか経っていないのにオペの手伝いまでさせてもらいました。
何せ人手が足りなかったので、39度の高熱がでても休めなかったですけど、往診の手伝い、送迎、トリミングなど3年半で、様々な経験をさせてもらいました。

◇ペットハウス ベルをオープンしたきっかけは?

きっかけは、動物病院に勤めた事が大きいです。
動物病院という事もあって、トリミングに来る子はトリミングがしにくい超大型犬や全身アカルスにかかっている子、咬みつき癖のある子など、ちょっと問題のある子が多かった気がします。
そういう子をトリミングしているうちに、お客様の悩みや相談を受けつつ、ゆっくり対応して、いつもキレイに可愛く仕上げてあげたいという思いが強くなりました。
動物病院は忙しくてなかなか、お客様一人一人にトリマーがゆっくり応対できる時間はなかったんです。
動物病院に勤めていたからこそ、皮膚病などに対するケアの知識が増え、その思いが強くなったんだと思います。
「いずれは自分のお店を持ちたい」という思いは院長先生にも話していたんですが、ある日近所にピンク色をイメージしたペットショップのベルが作られたんです。
私はピンク好きで、もしお店を持ったら絶対イメージカラーはピンクにすると考えていたので、先を越された~~と悔しくて。
そんな事も院長先生に話していたんですが、出産を機に動物病院を退職しました。
退職して間もなく院長先生から、先を越されたと悔しがっていたベルが売りに出されているよと連絡があったんです。
使っていたドライヤーやトリミングバスな どトリミング器具をすべて購入できて、そのままお店を開けるということで。
スタンプもそのまま譲り受けたので、お店の名称を「ベル」のまま開店しました。
これからお産があるのにと母や姉は反対しましたが、父や兄が後押しをしてくれたのも、大きかったですね。
でも実際、開店後はやはり大変でした。
以前から知り合いだった子が週3回手伝いに来てくれていたんですが、実は出産当日もギリギリまでトリミングしていたんですよ。
朝6時ぐらいから兆候はあったんですが、その日は生憎スタッフが来ない日で、予約が入っていた子の分をトリミングしなければならなかったので16時まで頑張って病院へ行きました。
入院中はスタッフがきてくれる週3回だけお店をあけると客様にも事前に了解を得ておいて。
退院後は授乳をしながらすぐにお店を開けていました。
動物病院の院長先生とは今でもお付き合いがあり、あの頃は本当に忙しい中頑張ってくれた、もうお前は親戚みたいなもんだと言ってくれるんですが、そういう大変な経験があったからこそ、お店を開いた後も頑張れたんだと思っています。

◇ペットハウス ベルならではの特色とは?

動物病院の先生にはどうしても相談しづらいという飼い主様がいらっしゃいます。
やっぱり動物病院というだけで敷居が高いようです。
私は動物病院に勤めていたからこそ、耳の中が黄色の子は中耳炎、黒い子は疥癬症の疑いがあるなどの会話も自然とできていました。
例えば皮膚病は、週に1回薬浴に通っていただかないと治りにくい場合もあります。
そういう事をきちんと説明させていただき、飼い主様が納得していただくと、頻繁に通っていただけるんですね。
また、マルチーズの子をフルコートにしたいというご要望があれば、ブラッシングをどれほどするのか、その他のお手入れにどれ程の時間をかけていただけるかなど様々な事を聞き、トリミングした方が良いかどうかというアドバイスもさせていただいています。
ペットハウスベルでは、子犬も販売しているんですが、まずはお電話でお問い合わせされてくる方もいらっしゃいます。
その場合は、庭で飼育されるのか、おうちの中で飼育されるのか、ご家族の構成は?など色々質問してアドバイスをさせていただきます。
お電話だけで、ペットハウスベルを信用をしていただき、必ず訪問するのでおすすめのワンちゃんを・・・と言われる事も度々です。
この様な対応をお店のスタッフにも指導しています。
飼い主様の時間を大切に、飼い主様がどうしたいのかを丁寧に聞いてアドバイスをする事で結果として、お客様がお客様をご紹介していただくという理想的なサイクルができあがりました。

◇トリマーの楽しさとは?

実は1度だけ動物病院で働いていた時にトリマーを辞めたいと思った事があります。
いつもは大人しくて、静かにしているマルチーズの子に目頭に近い顔を咬まれたんです。
しかもトリミングの最中ではなくて、つけていたリボンが落ちそうになっていたので、ちょっとつけ直してあげようとゲージから出した際に。
トリミングの最中に手などを咬まれる事はありますが、さすがに顔は・・・ショックで泣いてしまって、トリマーはやっぱりできないかもと自信をなくしたんです。
でもやっぱり犬が好きで、辞められませんでしたね。
トリミングが終わって飼い主様がキレイになったと喜ぶ姿を見て、ワンちゃんも尻尾を振って喜ぶ姿を見ている時、飼い主様がちょっと最近汚れてきたね~~と 言うとゲージで申し訳なさそうにしている子がトリミング後は自信をもってゲージから出て来る姿を見ている時が一番幸せです。
皮膚病で苦しんでいるワンちゃんが、飼い主様とフードについて相談したり、薬浴の頻度について相談したりして徐々に改善されてくる姿をみても嬉しいですね。

◇トリマーを目指す方へメッセージ

トリマーという職業は犬舎の掃除やトリミング中に多少咬まれるなど、好きなだけではやっていけない仕事です。
また体力も必要な為、精神的にも肉体的にも健康な人が向いています。
私は2店舗を現在運営していますが、もともと自分で商売をされていた方ならもっと上手に歩んできたかもしれません。
でも外に出る機会を増やす事で、そういう場で知り合った人からいろいろな機会をもらえてきたと思っています。
院長先生が教えてくれなければペットハウス ベルを開店する事自体もなかった訳ですし。
トリマーになって将来はお店を開きたいと思っている方でしたら、積極的に色々な人と交流をし、様々な勉強を続けて欲しいと思います。